肌に棲む菌で美肌に!肌フローラを育てるケア方法とおすすめコスメ

私たちの肌はもともと、自ら美しくなる力を持っています。この肌本来の美肌力の元となるのが「肌フローラ」です。肌フローラとはどんなものなのでしょうか。また、どんな働きをしているのでしょうか。本記事では、肌フローラの働きを強化し美肌力を高めるポイントをご紹介します。

肌フローラによって肌本来の美肌力を高めよう

きれいな肌は女性の永遠の憧れ。肌の調子がよいとそれだけで自分に自信を持つことができ、気持ちも明るくなりますね。肌を美しくするために毎日熱心にスキンケアに励んでいる方も多いのではないでしょうか。

従来は、肌を美しくするには、汗や皮脂などの汚れをきっちり落とし、化粧品を使って潤いを与えなければならないという考え方が一般的でした。美肌を作る上で最も重要な役割を果たすのは、美容液やクリームなどの化粧品だとみなされていたといってもよいでしょう。

確かに化粧品は適切なものを適切に使えば有効ですが、使い方によっては肌の免疫力やバリア機能を弱め、かえって肌にダメージを与えてしまいます。高価な化粧品を使ってケアしているのに、乾燥や吹き出物などのトラブルが絶えないという方は、過剰なケアに原因があるのかもしれません。

近年の研究によって、肌にはもともと、自ら美しくなろうとする力が備わっていることがわかってきました。化粧品を使わなければきれいになれないという考え方が見直され、化粧品に頼らず肌本来の美肌力を高めることがより重視されるようになっています。

肌本来の美肌力を活かすために、非常に大切な役割を果たすのが「肌フローラ」です。

そもそも肌フローラとは?

私たちの皮膚表面や毛穴の中には、およそ30種類、数百億個の菌「皮膚常在菌」が生息しています。皮膚常在菌は洗顔などをすれば一時的に減少しますが、時間が経てばまた回復します。

フローラとは読んで字のごとく「花畑」もしくは「植物相」 という意味です。皮膚常在菌叢(皮膚常在菌の集団)は顕微鏡で見るとちょうどお花畑のように見えることから「肌フローラ」と呼ばれています。ちなみに、腸内フローラという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。これも肌フローラと同様に、腸内に多種多様な細菌が棲んでいる様子を表した言葉です。

菌というと不潔なイメージを持たれるかもしれませんが、実は皮膚常在菌は美肌を作る上で非常に大切なものなのです。まずは皮膚常在菌の中で特に重要な3つの菌について見ていきましょう。

①表皮ブドウ球菌
美肌を作ってくれる善玉菌です。表皮ブドウ球菌は美肌菌とも呼ばれるもので、皮脂や汗をエサとして脂肪酸とグリセリンを作り、肌をしっとりと保ちます。脂肪酸は皮膚を弱酸性に保ち、黄色ブドウ球菌の増殖を抑えます。

②黄色ブドウ球菌
お肌にトラブルを起こす悪玉菌です。通常の状態では問題となりませんが、肌が弱アルカリ性環境になると増殖し、様々な病原因子を作ります。肌荒れやアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の原因となるだけでなく、食べ物の中で増殖するとエントロトキシンという毒素を作り、食中毒を引き起こします。

③アクネ桿菌
善玉菌と悪玉菌のバランスによって有益にも有害にもなる日和見(ひよりみ)菌です。アクネ桿菌は酸素のある環境では生息できないため、酸素に触れない毛穴や皮脂腺に棲んでいるのが特徴です。

アクネ(=ニキビ)という名の通り、かつてはニキビの原因菌と考えられていましたが、通常の状態ではアクネ桿菌があるからといって直ちにニキビができるわけではありません。ただ、毛穴が皮脂で詰まるとアクネ桿菌が過剰に増殖し、炎症を起こしてニキビができてしまいます。

重要なのは菌同士のバランス

常在菌はお互いにバランスを取りながら共存し、外的刺激や紫外線、感染症などから肌を保護してくれています。日和見菌や悪玉菌の存在そのものが肌に悪いというわけではなく、何らかの理由によって日和見菌や悪玉菌が過剰に増殖し、菌同士のバランスが崩れたときに肌トラブルが発生するのです。美肌を作るには、毎日のスキンケアや生活習慣によって菌同士のバランスを正しく保つことが大切です。

肌フローラで美肌になるには?

肌荒れが気になる方はなんらかの理由によって常在菌のバランスが崩れ、肌フローラが乱れている可能性があります。まずは悪玉菌と日和見菌の増殖を抑えて善玉菌を増やし、肌フローラを守るための生活習慣をチェックしましょう。

肌の調子を見て肌断食を
肌を綺麗にしたいために様々な基礎化粧品を使っていると、化粧品の刺激によりかえって肌フローラの状態が悪化してしまうことがあります。肌フローラを整えるには、化粧品の使用を一定期間控える肌断食が効果的です。肌の調子を見つつ3日間ほど肌断食を行えば、肌フローラの状態はかなり整うはずです。肌断食中に乾燥が気になるときは、ワセリンや馬油などを薄く伸ばし、皮膚を保護しましょう。

ストレスを発散し規則正しい生活をする
睡眠不足やストレスは肌フローラのバランスを崩す一因となります。まずは規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとるようにしてください。そして、ゆっくりお風呂に入ったり趣味を楽しんだりして上手にストレスを解消しましょう。

肌フローラを守る洗顔法

毎日の洗顔は肌フローラに大きな影響を与えています。洗顔はどうしてもおざなりになったり自己流になったりしがちなので、いちどやり方を見直してみましょう。

朝はぬるま湯洗顔がおすすめ
美肌を作る働きをする善玉菌は肌の表面近くに棲んでいます。洗顔の際などで洗い落とされてしまうと一時的に少なくなり、元通りに回復するには12時間ほどかかります。洗顔や乾燥などによって善玉菌が減少すると、皮膚を弱酸性に保つ働きが弱まります。皮膚環境が弱アルカリ性に傾き、弱アルカリ性環境を好む悪玉菌が増殖して様々な肌トラブルを引き起こします。

洗浄力の強すぎる洗顔料を使ったり1日に何度も洗顔したりしていると、肌を守るために必要な善玉菌まで除去されてしまいます。洗浄力の強い洗顔料は善玉菌のエサとなる皮脂も洗い流してしまうので、肌の調子がよくないときは洗顔料を控えてみましょう。
冷たい水だと肌の汚れが落ちにくいため、ぬるま湯で洗うようにしてください。熱いお湯で洗うと皮脂を取り過ぎてしまうので注意してくださいね。

ぬるま湯だけだとどうしてもべたつきが気になるという場合は、低刺激のせっけんでの洗顔がおすすめです。一般的な洗顔料を用いた場合とくらべ、せっけんで洗顔した場合は洗い流された常在菌がより短い時間で回復します。

夜のダブル洗顔はNG!
皮膚を清潔に保つには1日の終わりにメイクをきちんと落とす必要がありますが、クレンジング剤の中には洗浄力が強すぎて肌に必要な皮脂まで除去してしまうものもあるので注意が必要です。一般的には、オイルよりミルクタイプやクリームタイプのもののほうが肌への刺激は小さいとされています。

クレンジング剤でメイクを落とした後に洗顔料や石鹸で再び洗顔するダブル洗顔は、肌に必要な常在菌を取り去ってしまうので避けるようにしましょう。

肌フローラに悪影響!注意すべき成分

化粧品の中には、肌フローラにダメージを与える成分が含まれているものもあります。購入の際に成分をチェックしたり、使用回数を少なくするなどして、できるだけ肌に触れさせないように気をつけましょう。

合成界面活性剤
界面活性剤は水分と油分を混ぜ合わせるために用いられるもので、天然のものと化学的に合成されたものがあります。合成界面活性剤は非常に洗浄力が強く、皮脂やメイク汚れをしっかり落とせる反面、必要な皮脂や常在菌まで根こそぎ洗い落としてしまいます。その結果、皮膚のバリア機能が弱まり、肌が乾燥しやすくなったりなどのトラブルを引き起こします。

ほとんどのシャンプーやクレンジング剤、メイクアップコスメ、スキンケアコスメには合成界面活性剤が含まれています。せっけんシャンプーを使ったり、せっけんだけでオフできるコスメを使うなどして、合成界面活性剤の使用をなるべく控えることをおすすめします。

殺菌剤、殺菌成分
感染症や食中毒などを防ぐために、殺菌成分入りのハンドソープで頻繁に手を洗っている方も多いのではないでしょうか。一般的な殺菌剤は悪玉菌だけでなく、肌に必要な善玉菌も死滅させてしまいます。肌を守る善玉菌の働きが弱まることで病原菌が侵入しやすくなり、トラブルを引き起こします。水洗いやせっけん洗いでも汚れは十分落ちるので、あまり神経質にならないようにしましょう。

肌フローラを育てる化粧品

最近注目されているのが、善玉菌の働きを活性化させることで美肌を作るという発想のコスメです。肌に優しい洗顔によって肌フローラを守り、善玉菌をより活性化させる化粧品をプラスすることで、より確実な美肌効果が期待できます。

veggy Beauty
2008年に創刊された日本初のベジタリアン誌『veggy』のオリジナル化粧水です。美肌菌を増やし、肌フローラのバランスを整えることで、肌本来の自己免疫機能を高めます。完全無添加の低刺激処方なので、敏感肌の方にもおすすめです。


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ラ・ピールプラス スムースクリアエッセンス
グレープフルーツエキスやリンゴエキスなど7種類のフルーツ由来成分を配合し、古い角質を優しく落とし、肌環境を整える美容液です。悪玉菌の増殖を抑え美肌菌を育てるグルカンオリゴサッカリドやターンオーバーを整える乳酸菌を配合し、健やかな肌フローラを育てます。


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BIONIST バイオスキンケアローション
美肌菌に着目した育菌スキンケアブランドです。ヒト由来の乳酸菌を配合し、美肌菌が活性化できる環境に整えます。石油系界面活性剤、アルコール、合成着色料、パラベン、鉱物油、香料はすべて不使用で、お肌に優しい使い心地です。同シリーズで洗顔料もあります。

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オリゴロジック カルチャリングローション
オリゴ糖を高濃度で配合し、美肌菌を育てるブースター化粧水です。美肌菌を増やすことで自ら潤う肌へ導き、皮膚の乾燥を防ぎます。エイジングケアとしてもおすすめ。同シリーズに、セラム、マスクもあります。

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BLACK PAINT ヒト乳酸菌エッセンス
常在菌に着目し、ヒト乳酸菌スキンケアを提唱するコスメブランドです。美容液にはコメ発酵液や酵母菌に加え、ワンプッシュの中にヒト乳酸菌が1億5000万個配合されています。

イランイランやダマスクローズなど4種類のオーガニックオイルと3種類のオーガニックエキスが配合されており、肌に優しい使い心地です。エッセンスのほか、バームやクリーム、化粧水などもあり、ライン使いもできます。

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ホリスティックスキンキュア PBフローラエッセンス
善玉菌として働く4種類の乳酸桿菌や酵素を生きたまま肌に届け、美肌菌を直接チャージします。配合の酒粕エキスで肌のバリア機能を高め、外部からの刺激物の侵入や水分の蒸発を防ぎ、しなやかでうるおいに満ちた肌へ導きます。合成界面活性剤不使用なので、敏感肌の方にもおすすめ。

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ヒューマンフローラ 整菌ラボシリーズ
肌フローラを整えることで肌トラブルを防ぐという考えに基づき、スキンケアコスメからボディソープ、シャンプーまで全身のケアに対応しています。各アイテムには皮膚常在菌活性因子が配合されており、肌をきれいにしようとする肌フローラの働きをサポートします。

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My美肌菌エッセンス
まず自宅で専用キットを使って肌の菌を採取。専門の研究機関へ送付して美肌菌を培養し、美容成分を配合して世界にひとつだけの美容液を作ってもらえるという画期的なオーダーメイド化粧品です。

美肌菌は同じ遺伝子を持っている菌をよりよく食べて活性化するとされています。自分自身の菌を用いた美容液を作ることによって、確かな効果を期待できます。

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肌フローラを守るプラズマ乳酸菌に注目!

肌フローラを活かした美肌作りで今注目されているのがプラズマ乳酸菌です。プラズマ乳酸菌はキリン・小岩井乳業・協和発酵バイオの3社が共同開発を行なっている乳酸菌で、免疫全体を活性化させ、肌フローラのバランスを維持する働きがあります。

口から摂取したプラズマ乳酸菌は小腸で吸収され、活性化された免疫細胞が血流にのって全身をめぐります。風邪の発生を抑えたり疲労を軽減したりなどの効果に加え、肌の免疫力を上げてバリア機能を強化する美肌効果も確認されています。

iMUSE
iMUSEはプラズマ乳酸菌を配合したキリングループの商品ブランドです。プラズマ乳酸菌を摂ることによって、善玉菌を増やして悪玉菌を抑制し肌のバリア機能を向上させる効果や皮膚や粘膜から侵入してきた悪玉菌を排除する効果があります。iMUSEシリーズには、協和発酵バイオのサプリのほか、キリンのウォータードリンクや小岩井乳業のヨーグルト、カンロとのコラボレーションによるグミなどがあります。


出典:キリン株式会社

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肌本来の美肌力を大切に

化粧品にお金を惜しまず、毎日のケアにもしっかり時間をかけているという美意識の高い方ほど、肌が本来持っている美肌力を見過ごしがちです。肌の自ら美しくなろうという力を大切にし、健やかで強く美しい肌を手に入れてくださいね。

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