【ノスタルジックな香りを運ぶ】アメリカのヴィンテージ食器とは

皆さんはアメリカのヴィンテージ食器というと、どんなものを思い浮かべますか?赤や黄色のカラフルでPOPな食器でしょうか?北欧のヴィンテージ食器は、さまざまなメディアで紹介されますが、アメリカのヴィンテージ食器はあまり馴染みがないかもしれません。その特徴や代表的なブランドをまとめました。

アメリカのヴィンテージ食器とは?

いつの時代のもの?アンティークとは違う?

ヴィンテージとアンティークの違いは、何かご存じでしょうか?一般的に、アンティークは誕生してから100年以上を超しているものを指し、ヴィンテージは、作られてから約30年以上が経過し、アンティークとまでは行かない古い品物を指します。

古びた雰囲気に味があったり、どこか懐かったりと、現行品とは違う魅力があるのがヴインテージです。アメリカ食器でのヴィンテージは、一般的に1930~1970年代頃のものを指します。

冒頭に記した、カラフルでPOPな食器もありますが、それはほんの一部でさまざまなテイストのものが存在します。

まずは、どんな特徴がみられるのか、4つの視点で見て行き、そのあとに3つの代表ブランドを紹介します。

<特徴:1>ほっこり温かみのあるミルクグラス

ミルクグラスとは

出典:instagram

アメリカのヴィンテージ食器の代表といったら「ミルクグラス」でしょう。ミルクグラスとは、ガラス製品に使われる独特な素材のことです。

ガラス質にミルクを溶かしたような乳白色が特徴で、いろいろな食器メーカーで作られました。飲み物を入れた時などに、飲み物の色が少し透けるものが多く、ほっこりした温かみがあります。

メーカーによって薄手のものからぽってりとした厚みのあるものまでさまざまにあります。共通するのは、つるつるしたガラスの持つ特有な肌触りがします。

ミルクガラスは、ガラス原料にさまざまな乳濁剤を混ぜて作るもので、耐熱用のものは「ホウケイ酸ガラス」という材質でできています。

ミルクグラスの製作には機械生産でのコストがかかり、もっと安価に質のいいガラス器をつくる技術が生まれた現在では、あまり多くは作られていません。

また、高い温度でつくるうえ、ガラスがすぐに固くなってしまうので、加工も難しいものがあります。そのために、形が不揃いであったり、凹凸やガラスを練った際のシワなどが見られるものもあります。

コレクターにとっては、ひとつずつが微妙に違うので、これも個性と考えられています。

マグカップやプレートなどのほか、オーブンでも使える耐熱用のキャセロールなども人気です。色は白のほか、さまざまな色が練りこまれているものがあり、上からプリントされたものも多く揃います。455

<特徴:2>色彩豊かなディプレッショングラス

人々の心を明るく照らす願いをこめて


出典:Instagram
アメリカのヴィンテージ食器といえば、パステル調の色ガラスの食器も人気があります。

これらはディプレッショングラスと呼ばれています。ディプレッションとは、不況とか不景気、または、気持ちがふさぎ込んだ状態のことを呼びます。

なぜ、こんなマイナス・イメージのある言葉が使われたかというと、1930年頃にアメリカを襲った経済不況時代に作られたからなのです。この時代は、失業人人口も多く、生活もままならない人々も続出しました。

そんななかで、少しでも人々の気持ちを明るくしよう、または保ちたいという希望を持って、優しい色付きのガラス製品がたくさん作られたそうです。

本来のディプレッショングラスは、主に1930~1940年にかけて作られたものですが、そのあとの時代のものも区別なくディプレッショングラスと呼ばれています。

1970年代に、オリジナルの会社が倒産したあと、引き継いだ会社が同じ型を使い、人気のあったパターンを作り直したのものもディプレッショングラスという名前で呼ばれています。

同じデザインが違うブランドにある謎

ディプレッショングラスに限らず、ガラス製作会社が倒産や合併したりする度に、引き継いだ会社で同じ型をつかって製品をつくることが、よくありました。

似たような色やデザインが複数の会社で作らたことになり、アメリカのコレクターたちは、その見分け方を研究して楽しむ人が大勢います。

<特徴:3>スナックセットを知っていますか?

見た目が可愛い

プレートの上にカップなどをセットして使うように作られたセットをスナックセット、ホステスセット、パティオセットなどと呼びます。

これは、昔の女性たちが食事やスナックを取りながらカードゲームをする時や、立食形式で行うホームパーティの時などに使われていました。

使い勝手も良いスナックセット

さまざまなメーカーが作っており、ユニークな形からゴージャスなエレガントのものまで雰囲気もそれぞれです。上の画像のものは、プレートが仕切られており、一部がタバコの灰皿用になっているデザインです。

パティオやベランダなどでの食事やティータイムに使え、たくさんの食器を使わなくて済むのと、何よりデザインがユニークです。

カップに、飲み物を入れるだけでなくヨーグルトやフルーツを入れたり、デザインによっては、和食用にざるそばやお刺身などを盛る方もいるようです。

<特徴:4>アドマグ・キャラクターマグも人気

カッコよい広告やキャラクターものも楽しい


アメリカのヴィンテージ食器というと、アメリカ企業の広告やスヌーピーなどのキャラクターが描かれたミルクグラスのマグを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。

当時は、企業や店、ホテルなどが宣伝のために、ロゴマークを入れて作り、飲食店などで使ったり、景品にしたりしました。

マクドナルドなどのファーストフードやアメリカのダイナー、ガソリンスタンドのものなど、デザインも秀逸でアメリカらしいので人気があります。これらは、宣伝広告のために作られたのでアドマグと呼ばれます。

アドマグでは、決まったファーストフード店だけのものを集めたり、州で観光誘致のために作られた観光スポットものだけを集める人もいます。

奥が深く、同じ企業でも作る時期や支店などにより、少しデザインが違たりするので、コレクター泣かせでもあります。今は作られていないので、人気のものは、探すだけでも大変です。

スヌーピーやミッキーマウスやドナルド・ダッグ、トム&ジェリー、ZIGGYなどなど、お好きなキャラクターだけで集めるのも楽しいものです。

翡翠色が美しいFire King(ファイヤーキング)

ファイヤーキングって?

ファイヤーキングは、アメリカのオハイオ州でアンカーホッキング社により1941年に誕生しました。火の帝王の意味があるファイヤーキングは、ミルクグラスを中心にした耐熱ブランドです。

ファイヤーキングのミルクグラスは、半透明でやわらかな雰囲気を感じさせ、さまざまなデザインやシリーズがあります。

1950~60年代が黄金期で、1976年頃にはファイヤーキングという名前は消え、アンカーホッキング社製品として1986年まで製造されました。

一番人気はJadeite(ジェダイ)

ファイヤーキング・ブランドのなかで、1番の人気は東洋の翡翠色にヒントを得て作ったと言われているジェダイのシリーズです。

ジェダイとは、英語で翡翠の意味で、この薄緑色をしたシリーズには、JadeiteやJade(ジェイド)と呼ばれます。

ジェダイは一般家庭で使われたほか、特にダイナーなどで使われた業務用のものもあり、こちらは大変厚みがあり頑丈で見ためもころりとしていてユニークです。コレクターであれば、誰でも欲しくなるレア製品でレストランウエアと呼ばれます。

そのほかには、レストランウエアより薄手の家庭用の1700ライン、細かな花柄がエンボスされアリスシリーズ、放射線のエンボスアクセントがポイントで使いやすいジェーンレイ、流れる波形が美しいシェルシリーズなどもあります。

ジェダイのほかにもターコイズカラーも大変な人気がありますが、生産量が少なかったせいで、価格は高めです。

ファイヤーキング独特のターコイズ色は、ジェダイとはまた違う魅力があり、少しスモーキーなブルーがお洒落です。そのほかにホワイトやアイボリー、ピンク、クリアガラスには、サファイヤブルー、ロイヤルルビーやフォレストグリーンなどがあります。

展開アイテムとしては、マグカップやカップ&ソーサー、さまざまサイズのプレート、チリボウルなどのテーブルウエアほか、蓋付きの保存容器やベイキング容器やボウルなども揃います。

ビギナーにはマグがおすすめ

ファイヤーキングの入門として、持つ人が多いDハンドルマグは、丈夫なオーブン耐熱グラスです。無駄のない機能的なデザインで、ハンドルが、持ちやすい「D」の形になっています。

スタッキングマグや、ユニークな凹凸のキンバリー、樽の形をしたバレルマグなど、さまざまなユニークな形が揃います。また、ご紹介したアドマグやキャラクターマグも人気があります。

ファイヤーキング製品は、昔ながらの技術で作られているので個体差もあり、1つずつ微妙に色や形が違ったりしており、手に入れたものは、一人ずつ違うファイヤーキングになるのも魅力です。

多くの製品には、ロゴマークなどの刻印があり、時代の変遷ごとにそのデザインが変わるのも、集める魅力の1つになります。1111 都内にファイヤーキングカフェ・日本ファイヤーキング リプロは60周年記念でホッキングから

パステルからカラフルまで揃うOld Pyrex(オールドパイレックス)

エジソンの白熱球のガラスを作ったコーニング

現在でも、耐熱用のベイキング製品やコレール食器を作り続けているコーニング社は、1851年の創業です。世界発の耐熱ガラスを作り、あのエジソンが開発した白熱電球のガラス部分を作ったことでも知られています。

その長い歴史のなかで、1940~70年代まで作られていた製品はオールドパイレックスと呼ばれ、世界中にコレクターが存在します。テーブルウエアのほかに調理用品も多く作ってきました。

丈夫で実用的、とても使いやすい製品には、たくさんのシリーズが存在します。1960~70年台を背景にした、アメリカの映画やTVドラマのなかの、食卓風景にもよく登場します。それほど、その頃のアメリカでの生活には密着していたんですね。

ボウルやベイキング用のキャセロールも豊富

ファイヤーキングは食器類が多いのに較べて、オールドパイレックスは食器類のほかに、多くのベイキング製品(キャセロール)や入れ子になったさまざまな大きさのボウルなどの調理用品が多いのが特徴です。

美しい色と模様でプリントされたキャセロールは、オーブンに入れて調理し、そのまま食卓に出して、残ったら付属の蓋をして冷蔵庫へ収納すると流れができており、洗い物も少なくとても機能的にできています。ユニークな製品としては、レフと呼ばれる四角い保存容器で大きさは3種類あります。蓋は裏表両方に使え、スタッキングして収納できるもので、見た目も可愛らし物が多く、人気があります。

シリーズごとに名前があり、初期時代には、原色系の元気でカラフルな単色使いから始まり、POPなドット柄や渋いモノトーン系まであります。

そのほか、やわらかで明るいパステル系やホワイトを基調にした爽やか系まで、テーマを決めて集めると、素敵な世界ができあがるでしょう。

人気のシリーズは?

  • 花&蝶モチーフのバタフライゴールド
  • 小花が可愛いクレイジーデイジー
  • 雪の結晶を描いたスノーフレイクやアーミッシュ柄のバタープリント
  • 鳥と花をモチーフにしたフレンドシップ
  • ベリー系を描いたグースベリーなどです。

また、マグというとファイヤーキングのものがとても有名ですが、オ―ルドパイレックスにもシリーズに合わせて、揃えられる素敵なマグがたくさんあります。

ほかには、直火用調理器具として、ブルーのガラスが美しいフレームウエアも人気があります。

粒ビーズにときめくCandle Wick(キャンドルウィック)

キャンドルウィックについて

インペリアル社というアンカーホッキング社と並び、アメリカでは著名なグラスメーカーの人気商品がキャンドルウィックです。
製品の周囲に丸い粒が羅列されいるのが大きな特徴になります。

こちらはキャンドルウィックの中でもポピュラーなアイテムのティーカップ&ソーサーです。
値段がお手頃なのと、特徴の丸い粒がしっかりとデコレーションされています。

日常の食シーンにさり気ない彩りを


ノスタルジックな香りがするアメリカのヴィンテージ食器は日常の食シーンをさり気ない彩りを与えてくれます。
是非この機会に取り入れてみては如何でしょうか。

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