おいしい見た目をキープする!【野菜の変色】を防ぐ方法

鮮度にこだわって選んだのにいつのまにか野菜や果物が茶色く変色してしまった、という経験はありませんか?
料理は見た目も大事、食卓を彩る野菜や果物だからこそ、色鮮やかでおいしそうな見た目をキープしたいですよね。
今回は野菜が変色してしまう理由や、野菜の変色を防ぐ方法について詳しくご紹介していきます!

どうして野菜は変色するの?

野菜が変色する原因はポリフェノール!

変色してしまう野菜や果物として、じゃがいもやりんごなどが思い浮かぶ人もいるのではないでしょうか。これらの野菜は切ったあとしばらくすると切り口が茶色く変色して、おいしくなさそうな見た目になってしまいますよね。
このように変色してしまう野菜には共通して、ポリフェノールが多く含まれています。ポリフェノールと聞くと、赤ワインやチョコレートなどに多く含まれ健康にも良いというイメージがありますが、ポリフェノールは野菜や果物にも含まれており、変色を起こす原因でもあるのです。
ポリフェノールが空気に触れることで変色する

ポリフェノール自体は無色透明で、そのままでは野菜を変色させることはありません。
ポリフェノールを含む野菜や果物の細胞には、「ポリフェノールオキシターゼ」という酵素が含まれています。この酵素は、空気に触れることで色素成分であるポリフェーノールと反応し、茶色く変化する現象「褐変」を引き起こします。
野菜は皮がついていたりそのままの状態では、変色しませんよね?これは、そのままの状態ではポリフェノールや酵素が含まれる細胞は内側にあり、空気に触れていないからです。
切ったり皮をむいたりすることで、内側にあったポリフェノールや酵素がむき出しになり、空気に触れ褐変してしまうのです。
つまり野菜や果物が茶色く変色してしまうのは、細胞内にあるポリフェノールと酵素が空気に触れることによって反応を起こしているからなのです。
変色していても食べられるの?

変色している野菜は、腐ったように見えて食べていいのか迷ってしまいますよね。
結論から言えば、変色した野菜は腐っている訳でなく、安全性に変わりはないので食べても問題ありません。
そもそもなぜ野菜がポリフェノールを含んでいるかというと、ポリフェノールには抗菌作用や抗酸化作用があり、野菜が害虫や細菌による伝染病・乾燥や日照りなどから自分を守るために作り出しているものなのです。
私たちにとってやっかいな褐変も野菜にとっては防衛策であり、ポリフェノールが酸素に触れ別の物質に変化し、切り口から雑菌が入ったり水分が蒸発したりするのを防いでいるのです。
変色していても食べることはできますが、ポリフェノールが別の物質に変化しているので栄養価は下がってしまいます。また変色してから時間が経つほど、切り口から雑菌が繁殖し腐りやすくなってしまうので、切った野菜は鮮度が保たれているうちに食べましょう!

野菜を変色させないためにはどうすればいいの?

野菜を変色させないためのポイント

野菜が変色する原因や理由が分かったところで、次は変色させないためにどうすればいいのかポイントをご紹介します。
ポリフェノールが空気に触れ茶色く変色する現象には、細かく分けると2つの工程に分かれています。
①野菜が空気に触れることによって、酸化酵素であるポリフェノールオキシターゼが活性化する。
②活性化したポリフェノールオキシターゼとポリフェノールが反応し、変色する。
変色を防ぐためには、この2つの工程を起こさせないようにすることがポイントとなってきます。
・酸化酵素を活性化させないために、空気に触れさせない。
・酸化酵素の働きを弱める、またはポリフェノールとの反応を抑制する。
この2つ点に気をつけることで、野菜を変色させず、野菜そのもののおいしい見た目をキープすることができるのです!

野菜の変色を防ぐ5つの方法

野菜の変色を防ぐ方法①水につける

野菜の変色を防ぐ方法の1つ目は、水につける方法です。
切った野菜を水につけることで、切断目が空気に触れるのを防ぐことができます。
またポリフェノールは水に溶けやすいので、水にさらすことで洗い流すことができ、変色の原因となるポリフェノールを減らすことができるのです。
注意点として、野菜は水につけたりさらしたりすると細胞が壊れ、大事なビタミンまで失ってしまうことがあります。
変色を防ぐために水につける方法は、水につけても細胞が壊れにくい根菜などの野菜を中心に使いましょう!
<水につける方法におすすめの野菜・果物>
・じゃがいも
・さつまいも

野菜の変色を防ぐ方法②酢水につける・レモン汁をかける

野菜の変色を防ぐ方法の2つ目は、酢水につける、またはレモン汁をかける方法です。
酢水やレモン汁はどちらも酸性であり、酸性には酵素の働きを低下させ、ポリフェノールとの反応を抑える作用があります。野菜を酢水につけたり、レモン汁をかけることで酸性に変化させることで、茶色く変色するのを防止することができるのです!
またレモンに含まれているビタミンCやクエン酸には、酸化作用を抑える働きがあり、より変色を抑えてくれます。オレンジなどの柑橘系の果物が切っても変色しないのは、レモンと同様にクエン酸を多く含んでいるためです。
この方法の注意点としては、酢やレモンはくせのある風味があること。水で薄めて使いますが、酢やレモンの風味が加わっても影響を受けにくい野菜や料理に用いるようにしましょう!
<酢水につける方法におすすめの野菜・果物>
・れんこん
・ごぼう
<レモン汁をかける方法におすすめの野菜・果物>
・アボガド
・バナナ

野菜の変色を防ぐ方法③塩水につける

野菜の変色を防ぐ方法の3つ目は、塩水につける方法です。
塩に含まれるナトリウムイオンには、ポリフェノールの周りを保護して、酸化酵素と結びつくのを抑制してくれる働きがあります。
この方法も酢やレモンを使った方法と同じく、酵素とポリフェノールが反応させないようにする方法で、主に果物におすすめの変色防止法です!
みなさんも変色を防ぐために、一度はりんごを塩水つけたことがあるのではないでしょうか?
りんご以外にも梨や桃にも活用できるので、普段の食事はもちろん、お弁当につけるデザート用の果物の見た目を保つのにとっても便利な方法です!
<塩水につける方法におすすめの野菜・果物>
・りんご
・梨
・桃

野菜の変色を防ぐ方法④加熱する

野菜の変色を防ぐ方法の4つ目は、加熱する方法です。
酵素は80℃以上の熱を加えられると変性するため、加熱することで酵素の働きを弱めることができます。一度熱を通して酵素の働きを抑えてしまえば、野菜が変色を起こすことはなくなります。
変色しやすい野菜を使う時は、切った後さっと茹でたり、炒め物の場合には切ってから時間をおかずに手早く調理することで、野菜の変色をぐっと抑えることができます!
<塩水につける方法におすすめの野菜・果物>
・さつまいも
・山芋
・れんこん
野菜の変色を防ぐ方法⑤切れ味のよい包丁を使う・カット数を少なくする

野菜の変色を防ぐ方法の5つ目は、切れ味のよい包丁を使う、カット数を少なくする方法です。
普段使う包丁や、料理の際に切り方にちょっと気を付けるだけでも、野菜の変色を抑えることができます。
切り味の悪い包丁を使って野菜を切ると、切断面が傷付き、たくさんの細胞を潰してしまうことになります。空気に触れる細胞が多くなればなるほど、ポリフェノールと酵素の反応を強め、変色を促進してしまいます。
包丁の手入れをこまめに行い切れ味を良くすることで、細胞を傷付けず長持ちさせることができ、変色を抑えることにつながります。

カットを少なくする方法も切れ味のよい包丁を使う方法と同様に、空気に触れる面を少なくすることで、ポリフェノールと酵素の反応をさせないようにして変色を防止する方法です。
乱切りや短冊切り、みじん切りなどのように、カット数が多く食材を細かくする切り方になればなるほど、空気に触れる面は増えていき変色するスピードも早くなってしまいます。
変色しやすい野菜は、なるべくカット数が少ない切り方で調理するよう心がけましょう。
この2つの方法は、野菜や果物、料理の種類に関わらず使うことができるので、料理の際にぜひ取り入れてみましょう!

ポリフェノール以外の原因による野菜の変色と防止法

野菜が変色するもう一つの理由はクロロフィル!

これまでポリフェノールによる野菜の変色についてご紹介してきましたが、実は野菜の変色を引き起こす原因にはもう一つあります。
それが「クロロフィル」という色素成分で、ほうれん草やさやえんどう、ブロッコリーなど緑色の野菜に含まれています。
これら緑色の野菜を調理したとき、そのままの瑞々しい緑色が失われ、くすんだ緑色や茶色っぽくなってしまった経験をした人もいるのではないでしょうか?
このような野菜に起こる変色も「褐変」と呼ばれますが、ポリフェノールと酵素が引き起こすのではなく、クロロフィルという緑色の色素成分が崩れることが原因で起こります。
クロロフィルは熱を加えられることによって変色する

ポリフェノールは空気に触れることによって変色を起こしましたが、クロロフィルはポリフェノールとは違って熱を加えられることによって変色を起こします。
植物の組織は50℃以上に長時間熱せられると葉緑体が壊れ、葉緑体の中にあったクロロフィルが細胞内の酸にさらされます。すると、クロロフィル分子内にあったマグネシウムがはがれ、クロロフィルの構造が変化して変色を引き起こしまうのです。
このように植物に含まれている色素成分は、熱によって構造が変化します。にんじんなども茹でたり火を通すことで、赤っぽいオレンジ色から黄色味を帯びた色に変わりますよね。これもにんじんに含まれている色素成分βカロテンの構造が熱によって変化したことによるものです。
では、なぜ熱を加えることで茶色く変色する野菜と変色しない野菜があるのでしょうか。それは熱によって壊れてしまう色素と、熱を加えられても壊れずに安定したままの色素があるためです。
緑色の野菜は、熱によって壊れてしまうクロロフィルという色素であるため、茶色く変色を起こしてしまうのです。逆ににんじんなどの茹でても茶色く変色しない野菜は、βカロテンのように熱によって壊れにくい色素成分を持っているため変色を起こさないのです。

緑色の野菜の変色を防ぐ方法:茹で時間を短くする・塩を加えて茹でる

緑色の野菜の変色を防ぐ方法は、茹で時間を短くする、または塩を加えて茹でる方法です。
クロロフィルを含む緑色の野菜の変色を防ぐには、なるべく熱に長時間さらさないようにすることがとても大切です。ほうれん草や小松菜などはさっと茹で、さらに茹でた後はすぐに冷水にさらすことで、加熱を抑えクロロフィルが壊れるのを防止することができます。
茹でる時間を短くすることには、もう1つの効果があります。料理をする人なら、湯通しした青菜はする前と比べて鮮やかな緑色に変わる、という現象を体験したことがあるのではないでしょうか?
この緑色の変化もクロロフィルによる変化に思えますが、実は全く違った原因によるものです。
植物の細胞と細胞の間には、隙間を埋めるように細かなガスが存在しています。このガスあるため、通常の状態ではクロロフィルの緑色は濁って見えます。しかし、沸騰したお湯の中にいれるとガスは膨張し、野菜の中から出ていきます。ガスが抜けたために、野菜が本来の鮮やかな緑色が見えるようになるのです。
このように野菜をさっと茹で鮮やかな色にしたあと、冷水にさらし加熱を抑え、鮮やかな色を保つことを「色止め」と言います。熱によって変色を起こすクロロフィルですが、茹で時間を短くすることで変色を抑えるだけでなく、鮮やかな色にする色止めの効果も受けることができるのです!

また、塩を加えて茹でるのも緑色の野菜の変色を抑えるのにとても効果的です。
なぜ塩を加えることで変色を抑えられるのかというと、塩に含まれているナトリウムが熱によってはがされてしまったマグネシウムに変わって、クロロフィルが変化してしまうのを抑えてくれるためです。
緑色の野菜を茹でる時に塩を加えるだけで、茹ですぎて変色してしまった!という失敗がなくなるので、ぜひ試してみて下さい。

色鮮やかな野菜でもっとおいしい食卓に


野菜は毎日の食事に欠かせないものであり、食卓に彩りを加える大切な食材でもありますよね。
家族を支える食事には、栄養バランスや味ももちろん大切ですが、見た目だってとっても重要。
普段の料理にちょっと気を付けるだけで、変色を抑え、鮮やかな色のままの野菜を食卓に届けることができます。
野菜の変色を抑えて、「おいしそう!」の一言で毎日の食事を始めてみませんか?

関連記事一覧