【ファッションを描いた映画特集】ブランドやデザイナーの情熱を辿る

普段何気なく使っていたり、よく耳にする有名なハイブランドを題材にした映画は多く存在します。劇中ではオートクチュールなど煌びやかな衣装も多く出てくるので、ファッション好きな方ならきっと楽しめるのではないでしょうか。今回はそんなファッションを描いた映画作品を厳選してご紹介します。

デザイナーとファッションの魅力に迫るドキュメンタリー映画

『We Margiela マルジェラと私たち』数々の証言とともに天才の秘密に迫る

出典:instagram
ファッショニスタから熱烈な支持を受け続けている「メゾン マルタン マルジェラ」のデザイナー、マルタン・マルジェラについてのドキュメンタリー。2019年2月から公開したこちらの作品。マルタン・マルジェラは公に姿を見せず、書面のみのインタビューで「I=私」ではなく「We=私たち」で答えるなど、メディアに対し匿名性を貫いたマルジェラ。

1997~2003年にはエルメスのウィメンズ・プレタポルテのデザインを手がけファッションの最先端を牽引したましたが、2009年に突如として表舞台から姿を消しました。表舞台から突然姿を消したファッション界の異端児、マルタン・マルジェラに一体何があったのか?オランダ出身のドキュメンタリー作家メンナ・ラウラ・メイール監督が数々の貴重なアーカイブ映像や証言を掘り起こし、伝説的デザイナーの素顔と知られざるモードの舞台裏を浮き彫りにしている本作品は、マルジェラファンならずともファッション好きなら興味を惹かれる内容です。

作中では、マルタン・マルジェラと共にモードを築いたブランドの共同創始者ジェニー・メイレンス、初期のデザインに関わっていたミス・ディアナことディアナ・フェレッティ・ヴェローニ、メイクアップ・アーティストのインゲ・グログニャール、自身のブランドを持つルッツ・ヒュエル、現在アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)にて活躍中のハーレー・ヒューズなど、当時のクリエイティヴ・スタッフの「私たち」が、今まで語られることのなかった激動の20年間を語り始めます。

『ディオールと私』ラフシモンズ時代のドキュメンタリー

出典:instagram
2014年4月にニューヨークのトライベッカ映画祭で、ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)が初めて手掛けたディオール(Dior)のオートクチュールコレクションの舞台裏に迫るドキュメンタリー『ディオールと私 (原題:Dior and I )』が上映されました。日本では2015年に上映。フレデリック・チェン(Frederic Tcheng)監督による『ディオールと私』は、トライベッカ映画祭で、コンペティションのオープニングナイトドキュメンタリーとして公開。ラフ・シモンズがディオール就任後、初となるオートクチュールコレクションの舞台裏を描いたドキュメンタリーは、数々の伝説に彩られたメゾン、クリスチャン・ディオールの世界へと観客を誘います。そこには、オートクチュールを支える多くの人々が、苦労を厭わず献身的に仕事に取り組む姿がありました。

プレッシャーにさらされるファッション界の日常と、ブランドの象徴的な過去との不思議な共鳴を織り交ぜながら展開される映画は、ラフ・シモンズのビジョンを形にする職人たちへ、色鮮やかにオマージュを捧げる作品にもなっています。『ディオールと私』では、通常は公開されていないところまで踏み込み、ラフ・シモンズがデビューコレクションを完成させるまでのストレスフルな8週間を記録。アーティスティック・ディレクターであるラフのクリエイティブなプロセスから、疲れを見せず精力的に作業するアトリエの職人たちまで、デザインハウス内部で行われる作業を映し出しながら、オートクチュールに携わる人々、彼らの仕事、そしてクリスチャン ディオールの伝説を結ぶ絆を深く掘り下げています。

公開された貴重な場面写真では、悩ましい表情でドレスを見つめるラフ・シモンズ、偉大な伝統を支えて続けているお針子たちの様子、一枚のドレスが出来上がるまでの裏舞台の様子が分かります。苦労の末にアトリエから誕生したドレスをモデルたちが身に纏い、エレガンスなコレクションを披露しており、そのどれもが一流であり人々を魅了。劇中で制作の様子が明かされる、2012年秋冬オートクチュールコレクションは全54体。ラフ・シモンズがスタッフに無理だと言われながらも実現したドレスの数々は、どれもクチュリエとシモンズらの計り知れない試行錯誤のもとに生み出されたものでした。

2012年秋冬オートクチュールコレクションより、
スターリングルビーの作品に影響されて製作されたドレスのルック

現代アーティスト、スターリング・ルビーの作品を再現しようと試みたドレスの数々は、色が多すぎて再現が難しい上に時間がないと断られてしまうものの、シモンズが「本番直前のギリギリまであきらめない」と語り、土壇場ですばらしいプリントを完成させたものでした。
本番直前にシモンズの修正をうけ、スタッフがほぼ徹夜で完成させた至高のドレスもあり、なんとコレクション当日の朝に完成。『ディオールと私』は、そんなリアルなライブ感が満載な作品になっています。

また日本での映画公開日決定とともに、未公開だった映画の場面画像も続々公開。その中には、生誕110周年を迎えるクリスチャン・ディオールがデッサンする姿も。その他、米ヴォーグ編集長のアナ・ウィンターとラフがコレクション会場でキスする様子など、ディオールのコレクションが世界で注目されていることを表す貴重な写真が解禁されました。

サンローラン財団初公認映画『イヴ・サンローラン』

出典:instagram
『サンローラン』は、2014年第67回カンヌ国際映画祭で上映され、セザール賞・最優秀衣装デザイン賞を獲得した作品。日本では2015年に上映されました。ベルトラン・ボネロが監督を務め、同時期に製作されたもう1本の映画『イヴ・サンローラン』とは、テーマも撮り方も異なるこちらの作品。劇中ではサンローラン・スタイルのクリアでありながら艶と奥行きもある独特の色合いを再現していて映像美も話題となりました。また、光にこだわったコレクションやナイトクラブのシーン、カット割りを施した映像など、アートとして楽しめる優美な作品を作り上げています。

「僕たちは20世紀後半の2大アーティストだ」とアンディ・ウォーホールに称えられたイヴ・サンローランでしたが、新しいデザインを生み出すプレッシャーに苦しんでいました。ブランドのミューズ・ルルやお気に入りのモデル・ベティ、危険な愛人ジャックと刹那的な快楽を求めているうちに、遂にイヴは1枚のデザイン画も描けなくなってしまうというショッキングなストーリー展開を見せます。

主演にはギャスパー・ウリエルを迎え、『アデル、ブルーは熱い色』で注目を集めたレア・セドゥ、アミラ・カサールやルイ・ガレルなどが出演。また1989年のイヴ・サンローランを演じたのは、名優ヘルムート・バーガー。エレガントさが漂う名演技がサンローラン自身の蘇りを錯覚させると大変高評を得ました。作品はイヴ・サンローランの人生で最も輝き、最も墜落した10年間に迫ります。彼の華麗なクリエーションに秘められた壮絶な苦労と快楽や、人間関係にフォーカスが置かれ、色濃く描写。表現者ゆえの孤独とプレッシャーによる薬物、アルコール依存のシーンが強烈。コレクションの発表や、ファッション界のスターであるために、彼が払った犠牲に関して知ることができる一本です。

本作監督のベルトラン・ボネロは、フランス・ニース生まれの47歳。ピエル・パゾリーニの自伝を元にした短編映画『Qui je suis』(1996)でデビュー。音楽、脚本、監督を務めた『メゾン ある娼館の記憶』(2011)ではカンヌ国際映画祭パルムドールにノミネートされた。また音楽家として活動していることもあり、自身の監督作の音楽も手がけました。ベルトラン・ボネロに、なぜイヴ・サンローランを映画のテーマに選んだのか、そしてサンローランや彼にまつわる人々をどのように描こうとしたのかを、「サンローランの創出したファッションよりも彼の世界観や彼の生きた時代のほうにより共感を覚えた。その派手で退廃的な一面が、映画特有の可能性を生んでいるところに興味を持った」と語っています。

華やかなファッションショーのシーンが印象的な『イヴ・サンローラン』は、セザール賞・衣装デザイン賞も受賞したことに相応わしく、オートクチュールはすべてハンドメイドの特注仕立服で撮影されたと言われています。アトリエのシーンはほぼ「ドキュメンタリー」。この映画のためにドレスを縫製するアトリエを作り、実際に現在も本職としているお針子さんたちを雇い、彼らの仕事をそのまま映すという、なんともリアルなシーンになっています。劇中の音楽にはクラシック、オペラ、コンテンポラリーと多様な音楽が使われており、『イヴ・サンローラン』は監督のベルトラン・ボネロのこだわりが随所に詰め込まれた作品です。

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』

出典:instagram
2016年に公開された『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』。古風なイメージのあったベルギーが、1980年代に突然モードファッション界の注目の的となりました。そのきっかけを生んだのは、「アントワープの6人」。彼らは、ヨーロッパで最も歴史のあるベルギーの「アントワープ王立芸術学院」ファッション科の卒業生たちで、斬新なセンスで世界中のファッションショーに独自の価値観をもたらしました。その一角を担うドリス・ヴァン・ノッテンは、これまで密着取材の依頼をすべて断ってきました。しかし、遂に取材嫌いのイメージが強いドリスに密着した初のドキュメンタリー映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』が登場。

彼のクリエイションの裏側や私生活が明らかになり、彼が洋服をデザインしていく過程、素材や色へのこだわりを、自身の言葉とこれまでのコレクションでまとめたドキュメンタリー作品です。真摯な仕事ぶりだけでなく、アントワープの自宅やパートナーとの日常の姿が映し出される本作。自然と生き物を愛するドリスの姿や言葉からはファッションという域を軽く飛び越え、人間の生き方について語りかけてくるような作品となっています。

『マックイーン:モードの反逆児』アレキサンダー・マックイーンの劇的な人生描くドキュメンタリー

出典:instagram
2019年4月公開の映画作品。「ファッション界の反逆児」と呼ばれながらも、 デヴィッド・ボウイやビョーク、レディー・ガガからキャサリン妃にまで愛されたアレキサンダー・マックイーン。ロンドンの労働者階級の街イーストエンドに生まれ育ち、日々の食費にも困っていた青年が、失業保険を資金に23歳にしてファッションデザイナーとしてデビュー。次々と開いたセンセーショナルなショーは、大絶賛とバッシングの真っ二つに分かれ、彼の名前〈アレキサンダー・マックイーン〉は、たちまち世に広まりました。そして1996年、弱冠27歳で、エレガントで名高いパリのグランメゾン〈ジバンシィ〉のデザイナーに抜擢されて世間を驚かせます。

一方で、自身のブランドのショーはますます過激になり、「モードの反逆児」と名付けられるが名声は高まるばかり。34歳だった2003年には英国女王から大英帝国勲章(CBE)を授与されるまで上りつめたマックイーン。ところが、富と名声の絶頂期にいた40歳で突然、自ら命を絶ってしまいます。いったい彼はどんな人物で、いかにして現代のおとぎ話のような成功を果たし、なぜ燃え尽きてしまったのか?彼の壮絶で偉大な人生を辿るドキュメンタリー映画です。

ファッションをテーマにした作品はおしゃれで見応えあり


ファッションをテーマにした映画は、お洒落で見応えのある作品ばかりです。何気なく流しておくだけでもその映像や音楽が癒しの要素になるかもしれませんね。今回の記事を参考に、ぜひファッションやブランド、そのデザイナーを辿った映画を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

関連記事一覧