身体の冷え対策は「陰陽」を意識!からだを芯から温めて冷えを解消

手足が冷えたり、足腰が冷えたりといった「冷え」の症状の症状に悩んでいる方はいませんか?冷えを取り除くには、食生活や飲酒、そして日々の入浴などの生活習慣の中で「陰陽」を意識することが大事です。今回は具体的にどのような冷え対策を行えば良いのかについて陰陽の理論を交えて紹介していきます。

冷えと「陰陽」の深い関係とは?

冷え性とは特に身体的な病気などの明らかな原因がないのに身体が冷えるという自覚症状がある状態のことを言います。この冷えを放置していると、めまいや頭痛、生理不順や不妊などの不調や問題を引き起こすことも少なくありません。この冷えは病気ではないため西洋医学では積極的な治療を行いませんが、東洋医学では「未病」として捉えて治療する対象となります。冷え対策を行う上でも東洋医学にはたくさんの教えがあるので取り入れていくと良いでしょう。

陰陽とは何か

東洋医学では「陰陽」という概念があります。万物には「陰性」「陽性」の要素が含まれていて、両方のバランスが取れている状態が健康的な状態でありバランスが崩れると病気になりやすくなります。陰と陽は万物に当てはまるので、例えば人間において男性が陽、女性が陰、朝昼は陽、夜は陰、夏は陽、冬は陰などのように分けることができます。

以上のように、いずれも対立したり、お互いのバランスを保つように変化するので「陰性」だけ「陽性」だけということはありません。でも、陰性度が強いものもあれば陽性度が強いものもあります。特に食品においては陰性が強い「陰性食品」、陽性が強い「陽性食品」があり、マクロビオティックでも使われている考え方になります。

冷えを悪化させる悪い生活習慣と陰陽の関係

冷え性というと女性が多いですが、これはもともと女性が陰性体質だからです。もともと、筋肉量が少なくホルモンバランスなどの影響により体温の差が生まれやすいため女性は冷えを起こしやすいと言われています。

特に現代人では生活習慣や食習慣の乱れにより「冷え性」が深刻化している女性が増えています。その背景として、社会進出が進んだことによりストレスや疲労を溜めやすくなっていること、サラダやスイーツなどの陰性食品を食べる頻度が増えて冷えを起こしやすい状態を作っていることなどが関係しています。

特にストレスは身体を冷やす大きな原因となります。ストレスがあると、体は縮こまり血流が悪い状態を作りやすくなります。血流が悪くなると、全身のすみずみまでに温かい熱を伝えづらくなるため末端が冷えたり、上半身はのぼせるが下半身が冷える「冷えのぼせ」などが起こりやすくなってしまうので注意が必要です。

避けたい陰性度の高い食品や嗜好品

外気温が下がる冬には誰もが冷えを感じやすいですが、夏場でも冷える、一年中厚着が必要という状態なのであれば何かしらの原因があると考えられます。このように冷えを強く感じる人は、まず毎日の食生活や嗜好品の取り方を見直してみましょう。

特に陰性度が高い食品ばかり食べている人は、その食生活を変えることが冷え対策の第一歩として必要です。例えば陰性度が高い食品、嗜好品としては次のような種類があります。

・夏野菜(きゅうり、トマト、なす、レタスなど)
・南国のフルーツ(バナナ、パイナップル、マンゴー)、なし、スイカ など
・白砂糖、洋菓子などのスイーツ
・パン、パスタなど精製された炭水化物
・コーヒー、清涼飲料水、緑茶
・ビール、ウイスキー

以上のようなものを一切取ってはいけないわけではありませんが、摂りすぎは陰陽のバランスを乱すため良くありません。例えば健康のためと思って、朝はスムージー、昼はサラダランチ、息抜きにラテを飲み、夜はほとんど食べないなんて生活をしていると、冷えがどんどん悪化してしまいます。

温める作用のある食品を上手に取り入れよう

陰性と陽性のバランスが保たれるような食生活が理想的ですが、便利になった世の中では加工された陰性食品が溢れかえっています。気をつけていないと陰性に偏りがちになるため、毎日の食事に上手に陽性の食品も取り入れていきましょう。

身体を温める陽性食品

食べ物の中で、もともと陽性の強い食品には次のような種類があります。ただし、摂りすぎは陰陽のバランスを乱すため、適度に取り入れていくことが大切です。

・根菜類(にんじん、ごぼう、レンコンなど)、冬に旬を迎える野菜、北方が産地の野菜
・味噌、醤油、梅干し
・鯛、サケ、いわし など
・赤身の肉、ラム肉
・チーズ
・黒砂糖
・玄米、全粒粉など精製度の低い炭水化物
・紅茶、三年番茶
・赤ワイン、日本酒(熱燗)

見てみると日本に伝わる伝統食材、和食には陽性食品が多く使われていることが分かりますよね。例えば、サケの干物、味噌汁、たくわんと玄米などのような定食は陽性度が高く身体を温める作用が高い食べ方と言えます。(ただし、陽性に偏りすぎると塩分の摂りすぎになるため注意が必要です。

また、食事だけでなくお酒にも陰性、陽性があるので上手に取り入れるようにすれば少量のお酒を飲むことは問題ありません。お酒は冷えるからといってガマンするのではなく、上手にお酒を選べば冷えにくい身体を作ることができますよ。

調理法によって陰陽は変えられる

陰性食品と陽性食品という区別だけで食生活を考えてしまうと、「もう陰性食品は食べられない!」と極端な考えに走ってしまいがちです。でも、実は食品の性質は調理法で変えることができます。

例えば、「焼く」という熱を加える調理法は「陰性→陽性」へと変えてくれます。また、干したり、熟成させると食品は陽性が強くなります。イメージとして、陽性は強く引き締まったもの、陰性はゆるゆると緩んだもの、水っぽいものと思っておくと分かりやすいです。

生野菜をサラダで食べてしまうと体は冷えやすくなりますが、温野菜やフライにすれば陽性が強くなり身体を温めてくれます。また、サケやいわしなども刺身で食べるよりも、干物にして焼いた方が身体を温めてくれます。

コーヒーは冷やす性質が強い嗜好品ですが、アイスコーヒーよりもホットで飲む方が身体は温まるのでベターです。ホットラテにシナモンを振ったりすれば一層温まりやすくなるのでおすすめです。

スパイスや薬味を活用する

身体を温めてくれる食材として「スパイス」や「薬味」を活用するのも効果的です。スパイスとしては「唐辛子」「コショウ」「シナモン」「クローブ」など色々な種類を、温める作用が高いので適量取り入れていきましょう。特にシナモンは生姜を超えるほどの温め食材でもあるので、飲み物などにプラスしてみてはいかがでしょうか?ただし、唐辛子やコショウは大量に取りすぎると胃腸を壊すこともあるため適量に留めることが大切です。

日本人に馴染みのある「ねぎ」や「しょうが」、「にんにく」などは身体を温める薬味の代表です。にんにくにはビタミンB1が豊富に含まれていて燃焼効果を高め、内臓を温めます。高価にはなりますが、熟成した黒にんにくは温め食材としておすすめです。

しょうがは冷え対策としてはおなじみの食材ですが、取り入れ方にコツがあります。実は、生のしょうがを摂りすぎると逆に冷えてしまうことがあるのです。しょうがは「生」と「乾燥または加熱したもの」では効き方が少し異なることを理解して使い分けましょう。

生しょうがに含まれる「ジンゲロール」は血管を広げる作用があり、摂りすぎると発汗作用が強すぎて冷えてしまうのです。しかし、乾燥や火を加えることにより「ジンゲロール」は「ショウガオール」に変化します。「ショウガオール」の方は胃壁を刺激することで内臓から身体を温める作用があります。生薬では「乾姜」とも呼ばれ温める作用がかなり強いことで知られています。

飲み物などにプラスするときには生ショウガのすりおろしよりも、ショウガパウダーなどを活用した方が一層温まりやすくなります。生で買ってきたものをスライスしてから乾燥させておいて料理などに活用するのも良いでしょう。

冷えを解消するには朝の過ごし方がポイント

冷えを特に感じやすいのは朝方という人も多いのではないでしょうか。寝ている間は動かないため体温が下がりやすく、朝方に冷えを感じる人は多いようです。また、自律神経の働きが悪い人は起床時に血圧が下がったままなので低血圧になりがちです。そのため動くことが億劫になり、活動量が下がるため一向に身体が温まらなくなってしまいます。

慢性的な冷えや朝冷えを感じる人は朝の過ごし方を見直してみましょう。特に食欲が無いからといって朝ごはんを抜いてしまうのはNGです。また、食べたとしてもコーヒーに食パンや菓子パンという内容では冷え対策としては不十分。おすすめは胃腸から温めてくれるお粥やスープを取り入れたり、お味噌汁などの汁物を取ることです。

身体を動かしにくい朝だからこそ、ストレッチやヨガ、呼吸法などを取り入れてみるのも良いでしょう。時間があれば軽いジョギングやウォーキングも代謝を高められるのでおすすめです。身体を少し動かすことで目覚めのスイッチを入れてあげると、代謝が高まり1日のスタートを元気に始めることができますよ。

冷えを改善する正しい入浴法

冷え対策として忘れてはならないのが「毎日の入浴」です。面倒だからといってシャワーで済ませてしまっては、冷えは一向に改善しないでしょう。特に夏場であってもクーラーや外気温差により冷えを起こしやすいため、シャワーではなくバスタブにしっかり入浴することが大事です。

ぬるめのお湯に20分以上浸かると効果的

熱いお湯に短時間浸かるのと、ぬるめのお湯に長時間浸かるのでは効果には差があります。短時間の入浴では深部まで身体が温まらず、入浴後に冷えやすくなります。寒いからといって熱いお湯に浸かっても短時間では効果としては不十分で、むしろ冷えを悪化させてしまうこともあります。そこで、おすすめは40度くらいの少しぬるめのお湯に、最低でも20分以上は入浴することです。

特に心臓に負担をかけずに長時間入浴できる方法として「半身浴」がおすすめです。みぞおちくらいまでお湯に浸かり、上半身や両腕はお湯から出しておきます。お風呂場の温度が低くて寒い場合には、肩に乾いたタオルなどをかけておくと良いでしょう。ただ浸かっているだけでは退屈してしまうならば、軽めのマッサージなどを行いながら入浴すると良いでしょう。

入浴剤やゆずなどを利用する

せっかくの入浴するのであれば温浴効果をさらに高めることができる入浴剤などを活用しましょう。炭酸ガスを発生する入浴剤は血行を促す効果があり、アロマバスであればリラックス効果も期待できます。また、「ゆず」の皮には血行を促進して身体を温める効果があります。冬至だけではなく手に入りやすい冬場にはお風呂に入れて活用してみると良いでしょう。柑橘系には「気」を巡らす作用があり漢方でもストレスや不安の解消などに用いられます。独特の良い香りに包まれてリラックスしたバスタイムを満喫しましょう。

入浴のタイミングとしては寝る前直前は避けることが望ましいです。寝る直前に入浴してしまうと体温が高くなってしまい眠りにつきにくくなります。少し体温が下がったタイミングが最も眠りにつきやすいと言われているので、寝る1時間前までには入浴を済ませておくようにしましょう。寝る前は少しストレッチやマッサージなどを行い、リラックスした状態で過ごすようにすると良いでしょう。

冷え対策で芯からポカポカの身体を手に入れよう!


冷え対策について陰陽を交えて解説してきましたが参考になったでしょうか?多くの場合で冷えは日常生活の過ごし方、食生活などが関わっています。まず食べ物については自分でも自由に変えやすい部分でもあるので、すぐにでも対策を始めてみてください。最初は、陰陽の区別がつきにくく混乱することもあるかもしれませんが、慣れてくると次第に選び方が分かってくるようになるでしょう

さらに大事なのは食生活だけではなく、適度な運動を取り入れたり、ストレスを溜めないなど健康的な生活を送ることです。冷えを改善することは結果的な健康的な身体を手に入れるための習慣であるとも言えます。冷えを感じるならば、身体がSOSを出しているということ。すぐにでも冷え対策に取り組んでいきましょう。

関連記事一覧