
少人数保育のスペシャリスト「チャイルドマインダー」の魅力に迫る
人気アイドルグループのメンバーが資格を取得したとテレビでも話題になっている「チャイルドマインダー」
チャイルドマインダーは一言で表せば、「家庭的保育のスペシャリスト」
それそれのご家庭の教育方針に寄り添ってしっかりと子育てを支援していくお仕事です。
この記事ではチャイルドマインダーの仕事内容や資格取得方法、さらに取得後の進路まで詳しくご紹介します。
チャイルドマインダーと保育士、どう違う?
小さなお子様のお世話という職業では、日本では保育士がメジャーですよね。
よく聞かれる保育士とチャイルドマインダーの違いについて見てみましょう。
違い1:資格の種類が違う
保育士は厚生労働省の管轄で国家資格です。それに対しチャイルドマインダーは(日本では)民間資格。ここがまず大きな違いです。
保育士は、「指定保育士養成施設」と呼ばれる、大学や専門学校などに通って、所定の単位を取得する、または「保育士試験」に合格することで資格取得となります。一度取得すれば、免許更新の必要はなく永久資格となり、各都道府県の保育士登録簿に登録すれば、全国どこでも働くことができます。国家資格ですから社会的信頼も大変高いですね。
それに対してチャイルドマインダーは民間資格です。資格認定を行う各種団体の養成講座を受講・試験に合格すれば資格取得となります。社会人の方・主婦の方・未経験の方どなたにでもチャンスがある資格です。
違い2:保育をする子どもの数が違う
保育士は保育園でたくさんの子どもたちと触れ合う仕事、というイメージがありますよね。実は何歳の子どもなら何人まで保育ができるのか、ということが決まっているのです。保育士の場合
0歳…3人
1~2歳…6人
3歳…20人
4歳以上…30人
となっています。一方チャイルドマインダーは
0歳…2人
1歳…3人
2~4歳…4人
が上限となっており、まさに少人数保育。保育士が学校の先生だとすると、チャイルドマインダーは家庭教師のようなイメージを持っていただくといいでしょう。
違い3:働く場所が違う
このような保育人数の違いから、保育士とチャイルドマインダーでは働く場所も大きく変わってきます。集団保育がメインとなる保育士は、保育所や児童福祉施設が主な職場となります。チャイルドマインダーは少人数保育のため、それぞれのご家庭に出向いたり、民間の託児施設や自宅での開業という選択肢もあるのです。
チャイルドマインダーはイギリス発祥!歴史ある資格
ここまで読んでいただいて、チャイルドマインダーが保育士の下位資格では?と思った方もいるのではないでしょうか。しかしそれは大きな間違い。
チャイルドマインダーはとても歴史のある由緒正しい資格で、その発祥は100年以上前にさかのぼります。産業革命以降のイギリスでは女性の就労率が上がるにつれて、育児を他人に任せなければならない、という家庭が増えてきました。そんな女性たちが、子どもを他人の家に預ける習慣となったコミュニティーサービスが原型となっています。
1977年、全英チャイルドマインダー協会(NCMA)が発足して以降はチャイルドマインダーの知名度と社会的評価が上がり、1994年にはNCMA Japanも立ち上げられ本格的に日本に入ってきました。
NCMA Japanの公式HPにも次のようにあります
チャイルドマインダーとは、信頼される家庭的保育のスペシャリストのことです。
英国では100年以上の歴史があります。家庭外保育を必要としている全英の71%の子育て家庭が利用しています。お預かりするお子様の年齢は0歳から12歳までを対象としており、子育て家庭の育児・教育方針に沿い、安全で安心な保育を行います。
引用元:NCMA,Japan
イギリスでは児童法・チャイルドマインディングに関する法律が30年以上前に制定されており、子どもの保育を行う適正な人物の基準が設けられるなど、国をあげてチャイルドマインダーの育成とサービス向上に取り組んでいるのです。そして、イギリスではチャイルドマインダーは国家職業基準資格となっています。
今日本では待機児童問題をはじめ、保育に関する様々な問題が叫ばれています。今後はイギリスと同様、日本でもチャイルドマインダーという職業が注目されることは間違いありません。
チャイルドマインダーになるには?おすすめのスクールならこの3つ
チャイルドマインダーの資格を取るには、認定を受けた民間のスクールや団体が主催する講義を受講し、試験に合格する必要があります。おすすめのスクールをご紹介します。
NCMA,Japan
本家イギリスのチャイルドマインダー協会と正式に提携をしている団体です。イギリス政府が認定する、本来のチャイルドマインダー養成のためのメソッドを学ぶことができる唯一の団体です。厚生労働省のガイドラインに準拠したテキストを使用し、イギリス政府認定のトレーニングプログラムを熟知した講師陣から学ぶことができます。
受講コースについても充実のラインナップです。
通学本科コース(全23単元 全12回 60時間)…子育て・保育が未経験の方向け
通学一般特待生コース(全17単元 全8回 40時間)…子育て経験のある方向け
通学B.Sキャリアアップコース(全17単元 全8回 40時間)…ベビーシッター経験のある方向け
通学特待生コース(全13単元 全6回 30時間)…保育士・幼稚園教諭などの資格保有者向け
通学看護師有資格者コース(全21~22単元 全12回 免除科目あり)…看護師などの資格保有者向け
本科コースおよび一般特待生コースは通信教育でも受講可能で費用は
本科コース…199,800円(スクーリング費用含む)
一般特待生コース…194,400円(スクーリング費用含む)
それぞれ受講修了目安は3~6カ月
となっています。
チャイルドマインダージャパン
イギリスの本家との提携はないのですが、こちらは「NPO法人 新保育学会」の指導基準を遵守する保育者養成認定校となっています。「乳幼児の保育に関する知識の教授」として日本の特許庁から認められるなど、社会的に信用の高いスクールです。
チャイルドマインダージャパンでは、イギリスのチャイルドマインダーが日本に入ってくる前から独自に保育研究を行っており、ただ資格を取得するだけではなく「チャイルドコーチング」のマインドを積極的に取り入れたカリキュラムが魅力的です。ただの講義だけではなく、実践的な事例を多く取り入れたユニークな授業を受けることができます。
チャイルドマインダーの資格取得向けの講座は
チャイルドマインダー養成通学コース…全36時間・151,200 円 (税込)
チャイルドマインダー養成通信コース…在宅学習2~4カ月+実習1日・ 129,600 円 (税込)
の2つがあり、修了後は「NPO法人新保育学会・認定チャイルドマインダー」の資格が取得できます。(NCMA,Japanの発行するチャイルドマインダーとはまた違った資格です。ご注意下さい。)
チャイルドマインダー以外にも
チャイルドケアオブザーバー養成講座
国際小児MFA
などの資格取得にも力を入れています。
ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーは様々な分野での講座を展開する総合専門学校ですが、チャイルドマインダー養成講座のスタートは1997年と、意外と歴史があります。
ACE認定チャイルドマインダー養成講座…150分×24回(全62時間)・357,860円
ACE認定チャイルドマインダー養成講座有資格者コース…150分×18回(全47時間)・261,740円
受講料が高めですが、北海道から沖縄まで全国のヒューマンアカデミー校舎でスクーリングが可能です。
チャイルドマインダーはどこで活躍する?取得後のキャリア
保育士は保育園で働くのが一般的ですが、チャイルドマインダーの働き方は実に様々。1つの枠にとらわれない、いろんな働き方ができるのです。
キャリア1:自宅開業
チャイルドマインダー資格保持者に最も人気のあるキャリアのうちの1つです。自宅をそのまま保育ルームとして開業することができます。先ほどもご紹介したように、チャイルドマインダーが1人で見られる子どもの数は少なく、2歳から4歳までの子どもでも最大4人までしか保育できません。そのため、自宅はチャイルドマインダーにとってぴったりの職場になるのです。
幼稚園勤務、ベビーシッターを経て託児所を開設しました。少人数制で一人ひとりとコミュニケーションをとりながら過ごしています。いつまでも近所の遊び場でありたいですね。(I.M.さん・女性・託児所経営)
引用元:ヒューマンアカデミー
キャリア2:訪問保育
個人の家に出向いて保育をする、乳幼児版家庭教師みたいなものです。事前にご家庭と契約内容や取り決めをしっかり行えば、自宅開業よりもハードルが低く、誰でも気軽に始められます。
現在は「訪問保育」をメインに活動しています。現在は、ご家庭の子育て方針や要望にお応えしながら、心が温まる保育や親子ともにたくさんの笑顔を引き出せるように頑張っています。(N.M.さん・女性・訪問保育業)
引用元:NCMA,Japan
キャリア3:保育施設への勤務
保育士の資格が無い場合、認可保育園で勤務することはほぼ不可能です。その代り無認可の保育園や託児所、NPO施設での勤務は可能です。
保育園のような集団保育よりも、小規模の保育園を探していたら‥
「チャイルドマインダー」を知り、私の理想そのものだと感じました。
将来は開業し、より理想の保育に近づけるよう在宅で保育を行いたいと思っています。(M.R.さん・女性・保育施設勤務)
引用元:NCMA,Japan
またご自身のスケジュールによって「自宅開業+訪問保育」「自宅開業+施設勤務」など働き方のバリエーションも豊富な点が魅力的です。
チャイルドマインダーの資格は日常生活でどう役立つ?
チャイルドマインダーは女性はもちろん、男性の資格取得者も徐々に増えてきています。また、各スクールに保育士の資格所有者向けのコースもあることから、現在保育士として活躍されている方にもチャイルドマインダーの資格取得を目指す方が多いのも事実。チャイルドマインダーの資格はどのように役立つのでしょうか?
子どもから信頼される保育法を学べる
チャイルドマインダーはイギリスで100年以上も歴史のある少人数保育のプロフェッショナル。子ども1人1人に気を配り、子どもが大切にされていると感じられる保育法を学ぶことができます。子どもへの観察力が成長するのです。
保育士資格では学べないことも多く学べる
例えばチャイルドマインダーのカリキュラムには、「小児救急救護法」というものが含まれており子どもがケガをしたり、緊急時の対応方法を学ぶことができます。これは保育士として勤務するときだけでなく、自分の子育てにも生かすことができますよね。
女性としてのライフスタイルの幅が広がる
現代の女性は結婚・出産・子育てを経ながら働く方がほとんどで、実に大変な生活を送っていらっしゃいます。チャイルドマインダーとして働くことができれば、このワークライフバランスを上手く回してくれることにもつながります。
例えば先ほどもご紹介した「自宅開業」というキャリア。自宅開業する場合、保育を行う時間や料金を自分で決めて個人事業主になることができます。そのため、自宅から出ることなく自由度の高い仕事をしながら、月収30万円を超えることだって珍しくありません。通勤時間がゼロですから保育以外の時間を無駄なく家事などに充てることができますし、子持ちの方も家にいれるので安心ですよね。
保育士不足の現代においてますます重要なポジションへ
チャイルドマインダーは主婦や保育士をはじめ、あらゆるキャリアの方に最適な資格です。各スクールで養成講座を受講、または通信講座修了後に試験にパスする必要がありますが、合格率は70%を超え、不合格の場合でも追試を受験することができるので誰にでもチャンスがあります。
受講料・受験料がある程度かかってしまいますが、取得後は一生役立つ資格です。保育士やベビーシッターとは違ったやりがいがあり、保育士不足の現代においてますます重要なポジションになってくることは間違いないでしょう。