意外に自宅で簡単にできる!野菜・果物の農薬を除去する方法8選

食の安全性や健康への関心が高まる中、近年有機野菜や無農薬野菜が人気となっています。
有機野菜や無農薬野菜が選ばれる大きな理由の一つが、私たちが普段購入する野菜や果物に含まれる「残留農薬」です。

家族にはできる限り安全な食材を食べてもらいたい。
とはいえ、有機野菜や無農薬野菜は値段が高く、なかなか毎日は購入できないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は自宅で簡単にできる、野菜や果物の農薬を除去する方法をご紹介します。

残留農薬ってなに?


害虫予防、病気予防、除草など様々な目的で使用される農薬。
残留農薬とは、野菜や果物の栽培で使用されたこれらの農薬が、収穫後の食物に残留してしまったものを言います。

日本では「農薬取締法」という法律に従って農薬が使用されており、残留農薬についても人体に影響がないとされる規定量が定められています。
しかし日本における農薬の規定は諸外国と比べて緩いと指摘される事も多く、海外では禁止されている農薬が使用されるケースも。
また国産の野菜や果物には安心感を持つ方も多いと思いますが、実は日本は農薬使用量世界トップ3に入る「農薬大国」です。

残留農薬の人体への影響については様々な研究がされており、微量なため害がないという声がある一方、発がん性や子どもの発育への影響を指摘する研究もあります。
残留農薬を摂取することですぐに危険があるわけありませんが、特に妊娠中や成長期の子どもを持つ方は気になるのではないでしょうか。

有機野菜と無農薬野菜の違い


体に良さそうなのは何となく分かっていても、有機野菜と無農薬野菜の違いが良く分からないという方は多いのではないでしょうか。
それぞれの違いを見ていきましょう。

有機野菜
農林水産省が定める有機JAS規格の条件を満たした野菜のこと。
基本的に化学肥料や農薬を使用しないで栽培を行いますが、JASによって認められた31種類の農薬は使用が認められているため、完全に農薬を使用していないわけではありません。

無農薬野菜
名前の通り、農薬を一切使用しないで栽培された野菜のこと。
しかし有機野菜と違い、明確な規格や認定などはありません。
土に農薬の成分が残っていたり、外部から化学肥料が飛散してくる可能性もあることから、平成16年から「無農薬」という表示は禁止となりました。
その代わり、農薬を使用していない野菜の場合は「特別栽培農産物」という表示が認められています。

このように、有機野菜や無農薬野菜の場合でも残留農薬が含まれる可能性は完全には否定できないため、自分でできる対策を知っておくことが大切です。

意外と簡単!野菜や果物の農薬を除去する方法8選

では、どのようにして野菜や果物に残った農薬を落とせば良いのでしょうか?
ここでは自宅でできる簡単な農薬除去の方法をご紹介します。

1. 流水で洗う

野菜や果物に使用される農薬の多くは水溶性で、水で洗うことで溶けて流れてしまいます。
しかし中には水溶性ではない農薬が使用されているものもあり、さっと洗ったくらいでは除去することはできません。
また水を溜めてその中で洗う方法も、水溶性以外の農薬には対応することができず、不十分です。

そこでポイントとなるのが、野菜や果物を流水で30秒以上しっかりと洗うこと。
流水で洗うことにより、水溶性ではない農薬も水の勢いで剥がれ落ち、ある程度落とすことができます。

これなら今までの食材の洗い方をちょっと工夫するだけなので、生活にも取り入れやすいのではないでしょうか。

2. 外側の葉を取る・皮をむく

農薬の大部分は、野菜や果物の表面に残留しています。
そのため皮や外側の葉を取り除くだけで、農薬を摂取してしまう可能性を大幅に減らすことができます。

ジャガイモやリンゴは皮をむいてから、キャベツや白菜であれば外側の葉を1、2枚剥がしてから食べるようにしましょう。
ただし、栄養価が最も高いと言われる皮やその周りの部分が食べられないデメリットも。

3. 酢水・塩水で洗う

アク抜きにも使えるお酢や塩には、水分と一緒に残留農薬を排出してくれる作用があると言われています。

<酢を使う場合>
酢と水を1:2になるように酢水を作ります。
野菜や果物を酢水に1分ほど浸けた後、よく洗い流します。

<塩を使う場合>
水に対して2%の塩水を作ります。
酢水同様、1分ほど浸けた後よく洗い流します。

また、野菜を塩もみをすることで、表面に付着した農薬をこそぎ落とすことができますので、調理を始める前に塩もみをするのもおすすめです。
下ごしらえのついでに農薬対策ができるのは嬉しいですよね。

またお酢には殺菌効果があり、食中毒の予防にも効果的なので、これからの季節にぴったりな方法です。
ただし、いずれの方法も長く浸けすぎると食材が変色する原因となりますので、ご注意ください。

4. 重曹水で洗う

アメリカの一般家庭でもよく使用されている最もポピュラーな方法。
重曹は食用のものを使用するようにしましょう。

重曹は「炭酸水素ナトリウム」と呼ばれるアルカリ性の物質で、これが酸性の農薬を中和してくれると言われています。
使う重曹が食用なので、万一口に入ってしまっても安心です。

<手順>
1. ボウルに水を入れて、小さじ1〜2杯の重曹を溶かす
2. 野菜や果物を1分ほど浸ける
3. 流水でよく洗い流す

長い時間浸けすぎると野菜や果物の栄養も溶け出してしまうので、1分以上は浸けないように注意しましょう。
重曹なら価格も安くどこにでも売っているので、気軽に実践しやすいのが嬉しいですよね。

5. 専用洗剤で洗う

野菜や果物の洗浄用洗剤はあらゆるメーカーから販売されており、粉末タイプやスプレータイプなどその種類も様々。
基本的には洗剤に含まれる強いアルカリ性の成分により農薬を除去するものですが、ホタテの貝殻など天然由来の成分を使用した洗剤もあります。

価格は比較的高いものが多いのですが、食器用洗剤と兼用になっているものもあり、シンクに置いておけばいつでも使うことができるのは便利なポイント。
ただし、中には安全性がしっかり調査されていない成分が含まれている洗剤もあり、その使用には疑問の声も。
購入される場合は天然由来の成分を使用した洗剤がおすすめです。

またあくまでも洗剤なので、調理する前に徹底的に洗い流すようにし、口に入らないように注意しましょう。

野菜 くだもの 洗浄剤 ホタテ のおくりもの

6. 下ゆでをする

通称「茹でこぼし」と呼ばれ、日本で古くから行われてきた方法です。
野菜を30秒〜1分ほど茹で、茹で汁を捨てるだけで、簡単に野菜の表面についた農薬を減らすことができます。
煮物などを作る場合も、一度茹でこぼしを行ってから次の調理工程に進むのがポイントです。

この方法のデメリットとしては、作る料理が限られてしまう点と、手間がかかってしまう点。
毎回この作業をしてから調理に移るのは時間もかかりますし、ちょっと面倒ですよね。
とはいえ、鍋さえあれば簡単にできる方法なので、気軽に農薬対策をしたい方にはおすすめです。

7. 50度洗い

スチーミング調理技術研究会代表の平山一政さんが考案し話題となった方法。
元々は野菜や果物などを50度の温度で洗うことによって、食材の美味しさを保ちながら保存する方法として広まったものですが、実は雑菌や農薬を落とす効果もあるとされています。
この方法の一番のメリットは、食材の美味しさをアップさせながら農薬対策ができる点です。

50度のお湯は温度計で計りながら作るか、ない場合は沸騰したお湯と常温の水を半分ずつ混ぜて作る事ができます。
やり方は50度のお湯に葉物野菜は20秒ほど、根菜類は5〜6分、それ以外のものは2〜3分浸けて、洗うだけです。
すぐに食べない場合は、水気を拭いて冷蔵庫に入れておけば保存も可能です。

50度のお湯を準備する手間はかかりますが、殺菌作用により食材の日持ちも良くなるおすすめの方法です。

8. オゾン水を使う
殺菌効果が高いオゾンを水に溶かしたオゾン水を使用する方法。
オゾン水を使用すれば、野菜や果物を軽く洗うだけでも農薬除去に十分な効果があると言われています。

ただし様々なメーカーから「オゾン水生成器」が販売されていますが、いずれも2〜3万円と比較的価格が高いのが難点。
また、使用法を誤るとオゾンの発生量が過剰となり、気分が悪くなるなど人体に影響が出るケースもあるので、使用には注意が必要です。
2009年には国民生活センターが家庭用オゾン発生器の安全性についてレポートを発表していますので、気になる方は参考にしてみてください。

家庭用オゾン発生器の安全性(発表情報) 国民生活センター

残留農薬が多い野菜・果物ワースト10


ではどのような種類の野菜や果物に注意すべきなのでしょうか?
2018年にアメリカの環境保護団体(EWG)が行った残留農薬調査を元に、残留農薬が多い野菜・果物ワースト10をご紹介します。

第10位 セロリ

セロリは虫に弱く、また収穫までの期間が長いため、必然的に農薬散布回数が多くなってしまう野菜です。
2010年のEWGの調査では、最大67種類もの残留農薬が含まれる事が分かっています。
特に葉の部分の残留農薬量が高く、葉を食べる際には良く洗うなどの対策をするようにしましょう。

第9位 トマト

ガンの予防やダイエットにも効果があると言われるトマトですが、こちらも病気や虫の被害に遭いやすく、農薬が多く使用される野菜です。
トマトの農薬を除去するには、湯むきがおすすめ。
ヘタとは反対側に十字に切れ目を入れ、沸騰したお湯に15秒入れて冷水で冷やすだけで簡単に皮を剥く事ができます。

第8位 梨

害虫や病気の予防だけではなく、野菜や果物の実をつきやすくしたり、大きくするのにも使用される農薬。
スーパーに並ぶ綺麗で大きな梨を栽培するためにも、多くの農薬が使用されています。

ただしそのほとんどが皮に付着しているので、皮をむいてしまえば過剰に心配する必要はありません。

第7位 さくらんぼ

他の果物と比較して、残留農薬が非常に高いことで知られるさくらんぼ。
「ミバエ」と呼ばれる虫が付きやすく、無農薬で育てるのは非常に難しいとされている果物です。
また皮をむかずにそのまま食べるので、残留農薬を摂取しやすいのも気になるポイント。

第6位 桃

「桃栗3年、柿8年」という言葉がありますが、桃は3年かけてやっと収穫することができる非常に手のかかる果物です。
そのため、収穫を早める作用のある農薬が広く使われています。
また桃は害虫や病気にも弱い果物で、その栽培には殺虫剤がなくてはならない存在となっています。

第5位 ブドウ

ブドウは病気にかかりやすく、栽培が難しいと言われている果物で、日本でも種まきから10回以上の農薬散布が行われています。
また海外から輸入される果物には収穫後に農薬を撒く「ポストハーベスト」が行われている場合もあり、特に皮ごと食べる品種には注意が必要です。

第4位 リンゴ

果物の中でも人気が高く、食卓に登場することも多いリンゴ。
リンゴの皮には高血圧の予防や美肌効果もあると言われる多くの栄養素が詰まっており、丸ごと食べているという方も多いのではないでしょうか。

そんなリンゴも、実は農薬無しでは栽培が不可能と言われるほど管理が難しい果物で、栽培過程で多くの殺虫剤などが使用されています。

第3位 ネクタリン

日本ではあまり馴染みのない果物ですが、桃の仲間で、アメリカなどではよく食べられている人気のフルーツです。
病気や害虫に弱く、2015年にアメリカ農務省が行った調査では、サンプルの97%から農薬が検出されています。

第2位 ほうれん草

体に良いイメージが強いほうれん草ですが、実は害虫に大変弱く、栽培の過程で農薬が多く使われる野菜です。
茎が長く、ひょろっとしたものは化学肥料を多く吸っている証拠なので、できるだけ避ける様にしましょう。
また、茹でる際はそのままではなく、先に切ってから茹でる方が農薬が落ちやすいと言われています。

第1位 イチゴ

EWGによる調査で3年連続ワースト1位となったイチゴ。
子どもにも人気の高い果物ですが、今回の調査では一つのサンプルから20種類以上の殺虫剤が検出されています。
また日本国内でも収穫までの農薬散布回数が50回を超えると言われている、残留農薬の多い果物です。

農薬を除去した安心の食材を食べよう


今回は自宅で簡単にできる農薬の除去方法をご紹介しました。
スーパーに並ぶ色とりどりの野菜や果物に含まれる可能性のある残留農薬。

残留農薬は法律で安全とされる規定量が定められており、過度に心配する必要はありません。
しかし自分や家族が毎日口にする食材は出来るだけ安全性の高いものが良いですよね。

残留農薬はちょっとした工夫や下ごしらえでその量をグッと減らすことができます。
家族が野菜や果物を安心して食べられるよう、ぜひ実践してみてください。

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