【手土産にもおすすめ】老舗・定番の和菓子名店を巡る

日本には数多くの和菓子店がありますが、洋菓子と比較し意外と老舗・定番のお店を把握できていない人も多いのではないでしょうか。
和菓子は味だけでなく見た目の美しさなど芸術性あるものや、四季の移り変わりやその季節の美しさを表現しているものなど数多く存在します。今回は好みの把握しづらい相手先にも安心してお渡しできる、定番和菓子店をご紹介します。

御菓子司 鶴屋八幡


鶴屋八幡は江戸時代に創業した老舗の名店です。元禄の頃から受け継がれる上方菓子の伝統を守り、原料も厳選されたもののみを使用しています。創業地の大阪及び東京に直営店があり、関東・関西地区の主要百貨店やオンラインショップでも商品を購入する事ができます。

鶴屋八幡は丹波 大納言小豆を使用した最中・どら焼きが外せません。丹波 大納言小豆は江戸時代に天皇への献上品となった程の逸品です。丁寧に炊きあげられたつぶ餡は食べ始めから食べ終わりまでの変化を楽しませてくれます。

その他にも水ようかんやゼリーなど季節のお菓子や写真のようなハロウィンやクリスマスなどイベントに合わせた商品もあります。
伝統ある定番の品のみならず、現代のテイストを取り入れたお菓子のラインナップは1年中飽きることなく楽しませてくれます。

とらや


和菓子店と言えば一番に思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。とらやの創業は室町時代まで遡り、直営店をはじめ日本全国の百貨店で購入する事ができるので日本人に広く馴染みある和菓子店といえるかと思います。

ご存知の通り、とらやの定番商品は羊羹です。小倉羊羹「夜の梅」、黒砂糖羊羹「おもかげ」、日本産紅茶羊羹、黒豆黄粉羊羹、白味噌羊羹の5種類でそれぞれが特徴のある洗練された上品な味わいを楽しませてくれます。

鎌倉創作和菓子 手毬


創作和菓子作家の御園井裕芙子さんが古都・鎌倉で営む「手毬」は色合い・造形の美しさを感じる芸術品のような和菓子です。
大使館など政府関係からの特注品も手掛ける程で、2003年の創業から短い期間で日本を代表する和菓子店となりました。

日本の代表的なデザインである市松模様を取り入れた「市松手毬」は意匠登録商品として認められています。
見た目の美しさもさることながら、丁寧・細やかに作られた練り切りはお茶と共に味わう事で豊かな時間を演出してくれます。

和三盆 恵菓

※和三盆 恵菓は2019年5月に閉店しております。

和三盆 恵菓は香川・徳島の名産品である和三盆を使用した和菓子を手掛けています。サトウキビを原料に工夫された独自の工程で作られる和三盆は黒砂糖をまろやかにした独自の味わいがあり、高級砂糖と位置づけられ、同店では上生菓子・お干菓子・最中などの商品がラインナップされています。

こちらはきんとん製 和三盆糖入粒あんが入った「花霞」というお菓子です。
店主は日本に数少ない「優秀和菓子職」という和菓子職人の最高権威を持たれた方です。作り置きをせず、手作業で作られた上生菓子はシンプルながらも洗練された美しさで、和三盆の奥行きある味わいを楽しめる事ができます。

源太萬永堂(茶の湯菓子処 源太)


源太萬永堂は完全予約制で茶の湯用の和菓子店です。季節の逸品を週替わりで丹念に造り続けており、作り置きはせずお茶会の席や贈呈用などこだわりが必要とされるシーンに即した商品を購入できます。

定評を得ているのが夏期だけの季節限定品の水羊羹です。
十勝産あずきを使用しシンプルに作られた水羊羹は素材が持つ自然の味と口の中でとろけるような上品な触感が特徴です。箱に流し入れた羊羹をそのまますくって食べる事もできます。

松葉屋


石川県に本店がある松葉屋は「月よみ山路」という栗むし羊羹が定評です。一つ一つに職人が厳しい目の中で丹精を込めて作られる逸品は、地元はもとより全国の百貨店でも購入することができます。

「月よみ山路」は特色は大きな栗がどこから切っても顔を出し、葛を加え包み蒸し上げられた餡が醸し出す風味と他に類を無いもちもちとした食感です。素材、造形、色調、香味の全ての要素がバランスを取った伝統の逸品と言えるでしょう。

笹屋伊織


江戸時代に創業し300年以上の歴史ある京都の老舗銘菓です。10代に渡り一子相伝で守り続けた素材と製法で作られた笹屋伊織を代表するお菓子は毎月の販売日が3日間しかない幻と表される「どら焼き」です。

このどら焼は、江戸時代末期に五代目当主・笹屋伊兵衛が、「副食となるお菓子を作ってほしい」と京都東寺の和尚さんより依頼を受けたのがルーツです。店舗ではなくお寺でも作れるようにと、銅鑼(どら)の上で焼いた薄皮にこし餡を巻き、日持ちするように殺菌性のある竹の皮で包みました。
もちもちとした食感と上品な甘さを楽しむことができ、店舗では毎月20、21、22日の3日間限定販売となっています。

鈴懸(すずかけ)


鈴懸は九州・博多に本店を構える老舗和菓子店です。福岡県では知らない人はいない程の定評があり、福岡、東京、名古屋に直営店・百貨店内に展開をしています。四季に合わせた原材料を使用し創作される和菓子は、どれも多くの人を魅了する逸品ばかりです。

写真は鈴懸の看板商品である「鈴乃〇餅(すずのえんもち)」と「鈴乃最中(すずのもなか)」です。
「鈴乃〇餅」は小ぶりの可愛らしいどら焼きの様なお菓子です。佐賀県産のひよくもちを使用したフワフワ感が特徴の生地に、北海道・十勝産のあずきを使用したつぶ餡が醸し出す適度な甘みが絶妙に絡み合っています。
「鈴乃最中」は非常に愛らしい鈴状の形が特徴、皮は新潟県産のこがねもちを使用し薄く丹念に焼き上げられサクッとした食感です。柔らかな舌通りがする、洗練された甘みの餡がたっぷりと詰められています。

鶴屋吉信


京都西陣の鶴屋吉信は享和三年(1803年)に創業した200年以上の歴史がある老舗銘菓店です。 「ヨキモノヲツクル為ニ材料、手間ヒマヲ惜シマヌ事」という代々伝えられる家訓を守り菓子作りを行い、四季折々の五感で楽しむことができる京菓子を購入できます。

「柚餅」は鶴屋吉信本店の看板に店名ではなく‛柚餅’と記されているように同店を代表するお菓子です。
厳選された香高い柚子を使用しており、生地は柔らかな求肥を、さらに徳島県産の高級砂糖である和三盆が表面にまぶされています。
爽やかな柚子の香りと和三盆のくちどけが楽しめる逸品です。

「京観世」は江戸時代の能楽発祥のゆかりである観世水(渦を巻く水の模様)を、米の粉と餡をまぜて蒸した村雨と練り羊羹である小倉羹で表現した銘菓です。餡子ですがすっきりとした甘さが特徴の京菓子です。

HIGASHIYA GINZA


HIGASHIYAは2003年に中目黒で創業し、2009年に「HIGASHIYA GINZA」を開店した新進の和菓子店です。現在は銀座の店舗の他に表参道で美味しい蒸したてのお饅頭を販売する「HIGASHIYA man」も展開。
銀座の店舗は高い天井に整然と美しく並べられた陳列棚が優美な空間を演出しています。

代表商品は「ひと口果子」。
駄菓子のあん玉から着想を得たという小さな球状の菓子で、店頭には常時9種類が並んでいます。
例えば黒糖焼酎に漬け込んだレーズンを抹茶餡でくるんだ「萌葱(もえぎ)」、紫芋餡でカシューナッツをくるんだ「濃紫(こいむらさき)」。ナツメヤシに発酵バターとくるみをはさんだ、一番人気の「棗(なつめ)バター」など日本の伝統色が名前となり、餡子をベースとしながらも西洋の素材も取り入れた、他には無い独特な味が揃っています。

和菓子は日本各地の多様な文化の一部


日本の四季や地域に心を寄せつつ、伝統のみならず現代の自由な遊び心を取り入れ作られる和菓子。単なるお菓子という小さな世界に留まることなく、日本各地の多様な文化の一部を担っているものです。お茶の時間や贈答のシーンにぜひ取り入れてみては如何でしょうか。

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